第81回;SCM構築にスループット会計

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第81回;SCM構築にスループット会計

2006年5月28日

 スループットとは、「直接利益」のこと。売上高から資材費などの変動費を引いた残りが直接利益である。スループットを増やせば、企業の利益も自然に増えることになる。

 言い換えると、スループットとは「モノの移動スピードとそれにまつわるカネの流れ」のことである。スループットを向上させるには、資材調達から販売にいたるサプライチェーン全体を通り抜けるモノの移動スピードを上げる必要がある。


 例えば、配送センターなどに長いあいだ多くの商品が留まっていればスループットは低くなる。反対に迅速に出来上がった商品がすぐに消費者の手にわたればスループットは増大する。

 こういった考え方に基づいたスループット会計によって、原価に対する常識が一変した。大量消費時代には「たとえ売れなくても製品をどんどん生産すれば製品の原価がさがる」と考えられていた。だが、スループット会計の視点から見れば、安価に生産されても商品が倉庫に積み上げられていては話にならない。

 製品の原価が下がっても、キャッシュフローに問題があれば健全な経営とはいえないのである。過度の投資や経費もスループット会計にとってはマイナスとされる。

 また、社内で生産するよりも外注したほうが、原価が安くなるという場合もスループット会計の考え方からで検証する必要が出てきた。いくら原価が安くなっても、受発注の処理や納期が遅れるならば、再検討の余地がある。サプライチェーンを通過するスピードに遅れが出てくるからだ。だが、それではスループット会計の考え方ではプラスにならないのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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