第8回:ABCロケーションポリシー

連載トップへ

第8回:ABCロケーションポリシー

2005年1月 2日

 欧州きっての物流大国オランダでは近年、コンパクトシティ政策が推進されている。コンパクトシティとは都市をコンパクトにまとめ、同時に物流拠点の整備、効率化を図る都市政策モデルだ。
 オランダではトラックなどの輸送量が増加しても、それに合わせて都市を拡大することはなかった。反対に都市をコンパクトに活用することによって物流量を効率化する方策が模索された。
 オランダは国土の多くが埋め立てられており、ニュータウンなどの計画的な都市づくりが早くから根づいていた。また地盤が低いということから地球温暖化への国民的な関心も高い。コンパクトシティ政策を推進することでオランダの物流拠点の整備状況は欧州随一となった。
 そしてオランダのコンパクトシティの中核となる政策が「ABCロケーションポリシー」である。同政策では効率的な土地利用と物流システムの安定が念頭に置かれている。


 同政策では開発対象地域が三分類される。適切な立地で適切な業務が行なわれることが念頭に置かれている。公共交通網や道路網などの利便性やバランスも最大限に考慮される。同政策の導入で既存の物流インフラを物流ネットワークシステムに、より有機的に組み込むことも可能となった。
 さらにいえば同政策による立地誘導規制は、温暖化ガス削減対策についても有効に機能する。環境負荷の低減にも有効というわけである。
 日本でも同政策の導入を模索する動きが出てきている。「物流施設に関する土地利用の混乱や道路交通の混雑の改善などについての有力な解決策」と見る向きもある。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD