第79回;SCMの専門家育成を

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第79回;SCMの専門家育成を

2006年5月14日

 無在庫オペレーションの実現や社内外の情報共有の徹底がある程度、進展しても、SCMを企業戦略に結びつけていかなければ大きな効果は期待できない。

 日本の企業は「流行だから」「時代の流れだから」といった理由でSCMを導入するものの、いかに企業戦略に生かしていくかという認識が弱い。言い換えれば、「企業戦略全体におけるSCMの位置づけ」がきちんと定まっていないわけである。


 日本の場合、SCM導入をコストダウン戦略と必要以上に結びつける例が目立つ。SCMを「無在庫化によりコストの大幅ダウンを図ること」と単純化する傾向も強いようである。そのため、情報共有化がコストダウンと結びつかない場合には実行されないケースも多々、見受けられる。しかし、SCMの実現により可能となる戦略はコストリーダーシップ戦略だけではない。またオペレーションの効率化は、戦略とはいえない。個々の活動を競合他社よりも効率的にこなすというだけのことである。

 SCMにおいて中心的な業務となるのは物流・流通といったフィールドである。これが以前は現場レベルのオペレーションとしてしか論じられてこなかったが、そのことも大きく影響している。

 SCMを自社の戦略の軸として活用していくには、低コスト化を図る戦略だけでは不十分だ。商品の差別化や販売拠点の集中化なども戦略に組み込む必要がある。「戦略連鎖」としてサプライチェーン全体を展望しなければ、SCM導入の意義は見えてこない。そのためには、企業戦略の流れからSCMを考える人材も必要になってくるのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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