第77回:情報を軽視する日本企業

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第77回:情報を軽視する日本企業

2006年4月30日

 日本の企業では現場情報などがきわめて軽視される傾向がある。「情報を共有しても、実際のオペレーションを共有しなければ意味がない」という意見もよく聞かれる。
 また、現場のデータを著しく簡素化、簡略化し、その情報をもとに市場分析が行われ、経営戦略が構築されるケースも多いようだ。だがSCMにおける情報共有は、詳細なデータをもとにしての綿密な需要予測、販売予測、あるいは生産計画にある。したがって都合よく単純化されて下から上に伝わってくる情報化だけでは実現できない。


 現場サイドでは、「社内情報の共有」という概念を無視した処理が見られることも多い。例えば、せっかくSCMを導入しても、返品や廃棄などについて現場の責任で処理し、その報告が行われないということがある。さらにそのデータが手作業でしか処理されないこともある。そうなるとせっかくSCM武装をしても、なんの役にも立たないということになる。実際の在庫状況が掌握されていないかもしれないからだ。
 日本の企業では、情報をもとにした正確な状況分析よりも、カンや経験が重視されることがよくある。また論理的な結論よりも、情実的な理解が戦略構築の際に重視されることもある。だが経験やカンではSCMを円滑に機能させることはできない。直感的な判断が緻密なデータ分析の成果と異なれば、修正していかなければならないのである。
 確かに支援ソフトを導入し、物流施設などの統合化や流通システムの改革を断行することでSCM導入の体裁は完成する。だがSCMはインフラを導入しただけで動き出さないのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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