第76回:トヨタの「かんばん方式」

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第76回:トヨタの「かんばん方式」

2006年4月23日

 自動車の生産方式を確立したのは、アメリカの自動車王、ヘンリー・フォード一世である。彼は「フォードシステム」とよばれる流れ作業による大量生産方式で自動車を生産した。
 フォードシステムでは素材がベルトコンベアによって絶えず流れていく。そしてその流れのなかで機械加工が行われ、部品が組み立てられる。完成された多くの種類の部品が規則的なスピードで最終組み立てラインに供給される。このようなオートメーション方式で次々に自動車が完成していく。フォードシステムは自動車生産の基本的なやり方となる。同じ種類の部品をまとめて作ればコストも安上がりだ。大量に作ることによって生産性も向上する。計画的な量産によりコストダウンを図ることが可能となる。


 トヨタのかんばん方式でもフォードと同じように基本的に流れ作業を中心に自動車生産を行う。ただ、トヨタが注目したのは「作り過ぎのムダ」だった。フォードは大量生産した部品の置き場所についていろいろと工夫をしていた。在庫管理が大量生産をスムーズに行ううえで大きなポイントとなっていたのである。
 そこでトヨタは面倒な在庫管理などの負担をなんとか避けることを考えた。その結果、「在庫を持たない」ということが原則とされたのである。少しずつ、同じものを一度にたくさん作らないようにしたのだ。生産の各工程で出来上がったことを確認してから必要な部品などを補給することにした。その際の「引き取り情報」などは「かんばん」と社内でよばれる長方形のビニール袋に入った紙で指示される。これがかんばん方式の由来である。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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