第70回:物流における情報化

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第70回:物流における情報化

2006年3月12日

 物流における情報化の歴史は古く、すでに米国では1960年代後半からEDI(電子データ交換)の概念が誕生した。米国企業が物流情報の大きな波に出くわしたのは90年代に入ってからだが、60年代からEDIの標準化を推進してきたためにシステム開発費などを日本に比べてかけずに企業間に広めることに成功した。それがSCMの普及にも大きな影響を与える一因ともなった。


 米国では1968年には複数の物流企業が終結し、「輸送データ統合委員会」が作られ、伝票のデータ化、情報化が検討された。また70年代に入るとEDI標準化の道筋が大きく進展し、のちのIT革命につながる下地が出来上がった。
 さらに90年代に入ると、IT革命の流れの中でEDIによるペーパーレス化を国防省などが本格的に推進してきた。クリントン大統領は93年に政府調達をEDIに切り替えることを決定し、これによって民間、軍需産業、政府のいずれにおいてもEDIによる情報ペーパーレス化が進んだ。そして民間だけでなく政府もEDIを積極的に活用したことで政府に物資を納入するサプライヤーも物流EDIに対応することを余技なくされ、それが結果として物流支援システムの強化につながっていったわけである。
 他方、日本においてはEDIの導入企業はIT革命以降、飛躍的に増加している。だがEDI標準化の難航などのため、米国に大きな後れを取ってきた。ウエブEDIによって安価で高速にEDIの普及が図れる環境も整ってきたものの、物流の情報化におけるインフラは米国に比べるとまだ十分とはいえない。(エコノミスト・文化女子大学講師 鈴木邦成)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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