第69回:ロイヤルメール

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第69回:ロイヤルメール

2006年3月 5日

 英国郵政のロイヤルメールは、約20万人の大幅削減を計画。01年には自主退職者や早期退職者というかたちで1万人の人員削減を行った。これに対して、郵便事業従事者のほとんどが加盟する通信労働組合が猛烈に反発、組合の抵抗に直面した。


 英国の郵政民営化が暗礁に乗り上げそうになったときに、ブレア首相がロイヤルメールのトップに抜擢したのがアラン・レントン氏である。レントン氏は英国大手食品スーパー・ASDAを建て直し、ウォルマートに売却したことで英国のカリスマ的経営者として知られている。ロイヤルメールの会長に就任したレイトン氏は、積極的に英国郵便の労使問題の解消に乗り出し、大きな成果を上げた。そして、筆頭知事にはアダム・クロージャー氏(前英国サッカー協会理事長)を起用し、斬新な経営視点からの郵政改革を推進することにした。さらに、ニュージーランドポスト副総裁を務めたエルマー・トイメ氏を総務理事に任命、国際的視点からも郵政民営化のノウハウを導入し始めた。
 サッチャー政権時代の一連の民営化は、ロイヤルメールよりもずっと大きい反発のなかで行われ、最終的には成功を収めた。労働組合の反発というマイナス要因はあるものの、英連邦に緻密に張り巡らされたロイヤルメールの郵便インフラの付加価値は高い。インターネットの普及で利用率が高まってきている、宅配便などの多頻度小口物流にも瞬時に対応できる。構造改革が完了すれば、ロジスティクス事業にも本腰を入れてくるはずだ。将来的には、ドイツポストやフェデックスと互角に渡り合える力を有しているわけである。(エコノミスト・文化女子大学講師 鈴木邦成)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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