第66回:バリューチェーン

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第66回:バリューチェーン

2006年2月12日

 SCMのルーツともいえるバリューチェーン(価値連鎖)という考え方は、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授によって提唱された概念である。SCMを理解するうえでもベースとなる重要な考え方だ。
まず、企業活動を技術的・経済的な意味で区分できる複数の活動に分割。これが「価値活動」だ。そして、価値活動の一連のつながりが価値連鎖。価値は顧客が払う金額によって表せる。


 企業が利益を生むためには、価値活動のコストよりも生み出す価値が高くなくてはならない。企業が競争優位を得るためには付加価値を高くつけるか、価値活動の低コスト化を図るかのどちらかが必要となる。すなわち「差別化戦略」か、「コストリーダーシップ戦略」か、どちらかを選択するというわけである。
また、情報技術の革新によって、差別化、コスト削減は強化されると考えられている。実際、IT革命により生産、物流、販売などの システムの顧客対応が進み、差別化は強化されている。高度なSCMの構築による生産、在庫などの効率化で大幅なコスト削減も行われてきている。
ポーター教授のいう企業の主要な価値活動とは製造、販売などを指す。サプライヤー、社内、流通チャンネルなどの価値連鎖の流れは「価値システム」と呼ばれている。
 もっともバリューチェーンの概念すべてが、SCMと重なるわけではない。例えば、サプライヤーのジャストインタイムや戦略物流については「バリューチェーンの枠外の存在」と考えられている。
 また、全体最適というSCMの最重要概念もバリューチェーンのコンセプトには存在しない。(エコノミスト・文化女子大学講師 鈴木邦成)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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