第65回:神奈川口構想

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第65回:神奈川口構想

2006年2月 5日

 羽田空港の再拡張・国際化に伴い、増大する旅客、貨物に対応し、その効果を京浜臨海部や神奈川県内に波及させるという「神奈川口構想」が進展している。京浜臨海部の活性化に向け、ゲノム、ロボット、福祉関連産業をはじめとした研究開発拠点の形成、ベンチャービジネス支援施設の整備、資源循環型のゼロエミッション工業団地の整備などが進んでいる。京浜臨海部へのアクセス、利便性を向上させる道路、鉄道などの物流インフラの整備にも本格的に取り込んでいく方向である。


 そして、神奈川口構想がさらに具体化されていけば、国際航空貨物を中心とする物流機能の強化に注目が集まることはいうまでもないだろう。
しかし、羽田が再拡張・国際化されるといっても出来上がる新滑走路は国際空港の標準ともいえる四千㍍ではなく、アジアワイドでの活用しか見込めない二千五百㍍のもの。はたして中途半端な羽田空港の拡張に多くを期待してよいものだろうか。
 「羽田空港に四千㍍滑走路を作るのは物理的に無理。東アジアを網羅すればアジアのハブとしてある程度、機能するのだから、これで十分。さらにいえば飛行機も進歩してきているから長い滑走路はもはや不要」。
 二千五百㍍滑走路で満足している関係者の声をまとめるとこのようになる。確かに、狭い国土しかない日本の諸状況を考えると、一理ある考え方かもしれない。しかし、シンガポールやマレーシア、あるいは中国の巨大ハブ空港との比較で考えれば日本には到底、勝ち目はないように思えるのは私だけだろうか。(エコノミスト・文化女子大学講師 鈴木邦成)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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