第60回:日本郵政公社と郵政民営化の行方

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第60回:日本郵政公社と郵政民営化の行方

2006年1月 1日

 日本郵政公社は日本経済再生の切り札となるのか、はたまた日本経済を沈没させる致命的な大失敗に終わるのか。日本郵政公社が『世界標準の巨大郵便・物流企業』に生まれ変わるには、乗り越えなければならない障害は多い。
構造的に高コスト体質を抱えるといわれる郵便事業のスリム化を図ることは、はたして可能なのだろうか。例えば、郵便事業の市場開放により、全国約二万五千局の郵便局の七割が赤字になるという郵政審議会の試算もある。郵便自由化により特定郵便局の経営が行き詰まることへの懸念も大きい。


 従来の郵便局は普通郵便局、特定郵便局、簡易郵便局に分類できる。普通郵便局とは都市部に重点的に置かれた国の行政機関だ。これに対して特定郵便局は地方の有力者などが局舎などを提供するケースが多く、全体の七五%以上を占めてきた。
 特定郵便局も国の行政機関であるが、任期規定から世襲も可能だ。その地位が公務員となることから批判も受けてきた。また、簡易郵便局は個人がその七〇%以上で、民家、個人商店などに窓口を設置して業務が行われることもある。
 特定郵便局や簡易郵便局は郵便システムが確立していく長い歴史の中で設置されていったものだが、複雑化する社会の現状に合わないケースも出てきているといえよう。また高コストの原因ともいわれている。利用者サイドの立場を考えない殿様商法を実践すれば、日本郵政公社は崩壊することになる。世界的な郵便自由化、さらにはその延長線上にある物流ビッグバンの流れから取り残される可能性出てくるかもしれない。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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