第55回:郵政民営化で始まる物流大戦争

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第55回:郵政民営化で始まる物流大戦争

2005年11月27日

 拙著『郵政民営化で始まる物流大戦争』(かんき出版)が刊行された。
郵政民営化への動きはここにきて大きく加速してきている。だが「郵政民営化で民業はこれまで以上に圧迫される」という批判の声も聞こえてくる。はたして郵政民営化は日本にとってプラスと働くのか。本書ではその疑問に国際的な視点からアプローチしている。
日本郵政公社は郵便事業のみならず、郵貯事業、簡保事業を郵政事業庁から引き継いだ。その結果、郵貯残高は約230兆円、資産総額約360兆円の超巨大金融機関が誕生した。これはメガバンクを全て合わせた規模に匹敵する。


 欧州ではEU統合の流れの中で民営化し巨大化した各国のポストが欧州経済再生の原動力として大きな注目を集めている。
 その好例がドイツポスト。ドイツは東西ドイツ統一によりいち早く、郵政事業の構造改革を求められてきた。そしてドイツ政府はそれを機にドイツポストをドイツ経済牽引の原動力として活用すべくその組織改革に乗り出した。現在、米国産業界もますます巨大化するドイツポストの攻勢に大きな脅威を感じている。
 郵政民営化が議論されているのは日本だけではない。すでにドイツやオランダなどでは郵政民営化が実現し、経済牽引の強力な推進力となっている。また米国では民間主導で物流メガ企業が郵便事業への進出に食指している。日本の郵政民営化に関する議論もこうした国際的な視点を踏まえたうえでより多角的、多面的に行われる必要がある。本書ではいま議論が白熱している郵政民営化の動向・行方を「物流」を軸に解説している。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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