第53回:物流システムの未来図

連載トップへ

第53回:物流システムの未来図

2005年11月13日

 日本の企業物流システムの未来図を考えるうえで、面白い事例がある。小売業として独自の戦略を展開するドン.キホーテだ。
 ドン.キホーテは首都圏を中心に食品、電気製品、アパレル、医薬品、生活雑貨など四万品目以上の商品を販売。商品陳列が消費者の目を引き、工夫を凝らしている。また、「ナイトマーケット」を意識した深夜営業戦略を展開。例えば東京の新宿店では年間延べ二百二十万人が集客されるが、深夜に新宿の歓楽街を訪れる人たちが立ち寄るからである。


 ドン.キホーテが特に力を入れているのは、ユニークな商品陳列。独自の理論がある。店内には「圧縮陳列」といわれる手法でさまざまな商品が所狭と並べられている。圧縮陳列で消費者の購買意欲は想像以上にかきたてられる。消費者好奇心を刺激することに力点の置かれた陳列法だ。消費者は圧縮陳列された商品の山を見て、そこから「宝探し」をするがごとく興味ある商品に出合う。消費者心理をたくみについているわけである。
 ただ、こうした手法はIT化、デジタル化による需要予測などを重視し、SCMの基本理論を踏まえて、仕入れを行う既存のスーパー、ドラッグストアに対する強烈な反論となっているようにも思える。
すなわち、一般消費者がスーパーマーケットなどの進化し、過度に計算された商品陳列に味気なさを感じ取ることもあるのだ。「あまりにも計算高く、売れ筋の商品ばかりが並んでいても、それだけで売れるとは限らない」というわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD