第52回:ノキアの物流戦略

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第52回:ノキアの物流戦略

2005年11月 6日

 フィンランドの携帯電話最大手ノキアは、かつてはゴム、製紙、電線などを製造する巨大コングロマリットだった。
ノキアは80年代には欧州の家電メーカーなどを相次いで買収していった。ところが80年代末にフィンランドのバブル経済が崩壊。ノキアの株価は大暴落した。その結果、ノキアは不採算事業などの売却や大規模な人員削減を迫られた。ノキアは携帯電話ビジネスへの特化を余儀なくされたのだった。
 こうした逆境下でノキアが携帯電話市場でとった戦略はユニークだった。


まずノキアは部品のほとんどを自社で生産しなかった。アウトソーシングを重視したのである。携帯電話には液晶画面、バッテリー、セラミックコンデンサーなどの複雑、精緻な多くの部品が必要。
 ノキアは携帯電話のデジタル規格に基づくこうした部品を世界各国から調達することにした。ワールドワイドの部品供給システムを構築したわけである。完成品の生産工場を人件費が安く外国企業に対する優遇税制がとられている国に建設することとした。
例えば、アジアでは韓国南部の馬山や生産工場を建設。地理的にも近い日本はマーケットにも部品の供給地にもなった。また東南アジア市場向けに香港に物流センターを建設。中国にも合弁会社を設立した。
 こうして現在のノキアの企業物流システムは全世界に張り巡らせた部品供給システムをベースに調達物流もリペア物流も緻密そのものだ。「SCMが地域レベルで完結せず、ワールドワイドで展開できる」ということがノキアの物流システムの大きな強みとなっているのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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