第5回:ロードプライシングと商流・物流の効率化

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第5回:ロードプライシングと商流・物流の効率化

2004年12月12日

 大都市圏のロードプライシング導入に関する議論が白熱化してきた。
 確かにシンガポールなどではロードプライシングが導入され、一定の成果を挙げている。だが、欧米諸国の中にはその効果を疑問視する声も強い。
 ロードプライシングはシンガポールのように都市機能がコンパクトにまとまっている場合はうまくいく。だが、都市インフラが複雑な超巨大都市では導入によって都市交通が混乱する可能性も高いのである。
 そこで最近のオランダの研究では「ロードプライシングなどの導入以前に、コンパクトシティ政策を推進するべきだ」という意見が主流となりつつある。コンパクトシティ政策とは「土地利用政策、交通政策、物流政策、環境政策を横断する理論で、都市機能の緊密化を図る」というものである。


 例えば、巨大都市アムステルダムでは旧市街地と近代的商業・物流エリアをコンパクトな二重構造に分割することで物流と環境を両立させている。
 アムステルダムの中心部である旧市街地は「古き良き街並み」が保存され、観光都市として機能している。それゆえアムステルダムを初めて訪れ、ここだけを見れば「オランダが欧州最大の物流大国である」という現実を忘れてしまうことだろう。しかし、この旧市街地に隣接する欧州最大のスキポール国際空港の周辺には近代的なオフィス街と物流センターがコンパクトにまとまられ、ここであらゆるビジネスの商流・物流が効率的に行なえるようになっている。  
 大都市の機能をコンパクトに再構築することで物流効率を高め、それを環境対策にリンクさせるのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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