第44回:物流拠点・九州

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第44回:物流拠点・九州

2005年9月11日

 世界の半導体市場は80年代には日本が世界的な優位を確立していた。だが、近年は台湾、韓国などに押されている。現在、アジア諸国の半導体輸出の対米シェアは日本を大きく上回る。日本の半導体企業には試練の時代が続いているわけだ。
こうした状況の中で日本の半導体企業はアジアとの関係をより一層、強化。市場・投資戦略としても高いポテンシャルを持つ中国にも組立工場を新設。国際的な工程間分業を拡大している。また、台湾でのOEM(受託生産)の強化や技術提携も積極的に展開している。


 同時に日本国内の半導体関連の産業立地として、九州地方に企業が集約する傾向が強まってきた。すなわち「シリコンアイランド九州」の形成だ。現在、九州の半導体産業は関東に次ぐ国内第2の規模。半導体の世界最大手、台湾のウインボンド社もアジア戦略の中軸を担う生産・物流拠点として九州地方を重視している。その理由としては、水と空気が比較的きれいな九州地方が半導体の生産に向いている土地柄であること。さらには九州には空港が多く、台湾、中国、東南アジアへの窓口となる物流条件が揃っていることなどが挙げられる。例えば、九州各県の空港から「アジア版シリコンバレー」と呼ばれる台湾の新竹サイエンスパークをダイレクトで結ぶことも可能だ。そうした九州の地域特性、物流特性が緻密な物流システムが必要な半導体産業に適しているのである。現在、福岡県では世界的なLSI(大規模集積回路)の設計拠点作りを目指す「福岡県LSI設計拠点推進会議」のもとに新しいプロジェクトもスタートしている。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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