第42回:ハイアールの流通戦略

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第42回:ハイアールの流通戦略

2005年8月28日

 中国最大の家電メーカー「ハイアール」は、以前は倒産寸前の企業だったという。
現在は世界各国に年間1500万台近くのさまざまな家電製品を国内外で販売している。
中国では新型肺炎SARSの影響が深刻ではあるが、ハイアールはすでに欧米にも工場進出を遂げ、現地生産体制を確立している。
 ハイアールの製品は「安い中国製品」という理由だけで多くの消費者の支持を得たわけではない。
その成功の大きな理由として「流通チャネルの緻密な構築」があげられる。


 中国では家電はデパート販売が中心だった。しかし、ハイアールは独自の販売網の構築を目指した。そして専門に販売する小売店を増やした。また、製品の種類、販売地区ごとに販売会社を設立し、それを全中国展開の軸とした。専門の卸業者、小売業者を育成し、それを生かす効率的な流通ネットワークを完成させたわけだ。
  日本の松下グループの販売網を入念に検討したという。さらに欧米での販売は、外国のブローカー、取次業、商社などを通して行われていった。そのやり方も松下などの日本企業の海外進出事例が参考にされたという。日本企業の国内外戦略を自社システムに取り入れることでハイアールの年間売上げは9000億円を超える規模になった。
 現在、中国企業の多くは、「第三方物流」と中国語で呼ばれる3PLのノウハウを吸収することに躍起になっている。
 中国企業は日本式の販社システムをわずかな期間で消化吸収した。ロジスティクス事業でも中国が日本企業の強力なライバルとなる日は近いだろう。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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