第40回:欧州トラック事情

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第40回:欧州トラック事情

2005年8月14日

 欧州主要国の輸送事業者数の総計は60万社以上にも及ぶ。だが一事業者当たりの従業員は10人以下の会社がほとんどだ。「個人トラック」も多い。
 現在、欧州トラック業界では運賃下落の荒波の中で激しい生き残り競争が展開されている。
 戦後、欧州では西欧域内の過当競争を防止する狙いからトラック運賃制度として、「プラケット制度」が導入された。プラケット制度とは上限、下限の運賃をそれぞれ設定する「幅運賃制度」のことだ。欧州経済共同体の共通運輸政策として加盟国に導入が義務付けられた。


 しかし、欧州統合への流れが加速するにつれてオランダなどの規制緩和推進派の声が共通運輸・物流政策にも色濃く反映され始めた。その結果、二国間にわたる道路輸送に際しては、「レファレンス制度」(参考運賃制度)が、採用された。レファレンス制度では輸送事業の諸費用を含めてのサービスが、考慮された。物流企業の利潤を公正に分析。道路輸送業者組合が、レファレンス運賃案を作成した。
 そしてレファレンス制度はEU域内のスタンダードとして定着していった。
ただし、レファレンス制度が欧州における「トラック運賃の終着点」ではなかった。欧州市場統合とそれに続くIT革命の到来によって、トラック運賃は完全自由化の方向に向かう。その結果、EU域内の運賃競争は激化の一途をたどり、トラック運賃は大幅に下落した。さらに近年は、格安な東欧諸国のトラックが西欧市場に参入。競争はますます熾烈となってきた。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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