第4回:物流システムの高度化と人材育成

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第4回:物流システムの高度化と人材育成

2004年12月 5日

 「欧州諸国ではベンチャービジネスが育ちにくい」とこれまでいわれてきた。だが、IT革命の影響で欧州でもネットベンチャー起業家などが増加してきた。
 また、欧州各国政府も「スモールビジネス政策」を推進して経済再生への足がかりとする方向だ。欧州連合(EU)が全欧規模での起業家養成プログラムを行うなど、ベンチャービジネス支援の流れが定着してきたのだ。


 そして、多くのベンチャー起業家は最先端の物流システムを軸にしてのIT武装に余念がない。同時に、大手物流企業も、こうした流れに対応するためにロジスティクス事業のさらなる理論武装に力を入れ始めている。
 しかし、最新物流トレンドを取り入れた欧州企業にも「大きな落とし穴」があるようだ。ある日系物流企業の欧州支社幹部は「欧州の物流企業を見ていると、確かに最新のロジスティクス理論を隙間なく取り入れていることがわかる。その点に関しては日本の物流企業は見習う必要がある。
  だが、彼らが不思議なほど軽視するものがある。それは人材育成や社内研修システムだ。日本的視点から見ると、欧州の物流企業には人材育成を過少評価するがゆえに伸び悩んでいるように思える企業が多い」と指摘する。
 転職が当たり前の欧州では、新人社員を会社が育てるという概念はほとんどない。また、社員一人ひとりが会社全体のことを考えて行動するという意識も希薄な場合が多い。
 しかし、物流システムをいかに高度に構築しようとも、人材育成や社員教育を軽視すれば「画竜点睛を欠く」ということになるのではないだろうか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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