第38回:クリックアンドモルタル

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第38回:クリックアンドモルタル

2005年7月31日

 近年、イービジネスの普及でクリックアンドモルタルを導入する企業が増えてきている。
クリックアンドモルタルとは「伝統的な事業展開とインターネットによる事業展開を効果的に融合させていくイービジネスの業態」である。
 従来型のオールドエコノミー企業のビジネススタイルを「ブリックアンドモルタル」というが、その表現を踏まえて「ネットビジネス企業が店舗販売とネット販売を併用することで相乗効果を狙いつつ、ビジネス戦略を構築すること」が「クリックアンドモルタル」と呼ばれるようになった。クリックとはパソコンのマウス操作のことである。


 クリックアンドモルタルはネットビジネスの「二大取引形態」であるB2B(企業間電子商取引)、B2C(企業・一般消費者間電子商取引)のいずれにも対応することができる。とくに効果を発揮するのはB2Cビジネスにおいてだ。
 例えば、英国最大手のテスコはオンラインを販路とする一方で世界各地に1000店以上のリアル店舗を展開、業績を伸ばしている。テスコの業態はクリックアンドモルタルで、バーチャル展開のオンライン受注とリアル展開の既存の店舗・配送網を融合させたことが成功の最大の要因となっている。
 クリックアンドモルタルの強みは、注文受けた商品を地域内の一か所の倉庫から配達する「倉庫配達型」ではなく、最寄りの店舗から配達する「店舗配達型」の物流システムを構築できるということにある。テスコ同様にオランダのクリックアンドモルタル型スーパー、ロイヤル・アホルドなども店舗配達型で成功を収めている。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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