第32回:物流のアンバンドル化

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第32回:物流のアンバンドル化

2005年6月19日

 近年、物流業界の新しいキーワードとして「アンバンドル化」が浮上してきた。
  アンバンドルとは分離という意味。競争政策においては構造や機能を切り離すことをいう。
物流において具体的にいうと、物流ネットワークとその事業者を別分離することである。
 例えば、物流コンサルティング会社が既存の物流ネットワークを活用し、ノンアセット型の3PL事業をプロデュースするケースなど。また、大規模なかたちで展開される共同物流なども、アンバンドル化の一形態と考えていいだろう。


 アンバンドル化が発達すると、一見、巨大資本、大企業に有利のように思える。しかし、実際はそうともいえない。
例えば、欧米の郵便事業などでは、アンバンドル化により新規参入組が圧倒的に優勢となっている。アンバンドル化が進んだ南米諸国などでは株式会社化された旧国営郵便事業体が経営難に陥っている。新興の民間郵便企業が旧国営の郵便インフラに「ただ乗り」。
収益性の高い郵便ビジネスを展開している。
また情報通信事業でも通信インフラと通信事業者を分離するアンバンドル化が進行。だがここでも大手通信企業の多くは苦戦。「ただ乗り派」は高収益を上げている。
 国際的にも世界貿易機関(WTO)などは、これまで金融や情報のアンバンドル化を推進。この流れが物流に及んだ場合、どのような影響が出るのかは、実はまだよくわかっていない。
  ただ、物流ネットワーク、物流インフラの徹底した「相互乗り入れ」が将来、実現すれば、さらなる業界再編の引き金となる可能性も相当に高いのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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