第30回:米国郵政公社が民営化される日

連載トップへ

第30回:米国郵政公社が民営化される日

2005年6月 5日

 欧州や日本などで進展する郵政改革、郵便自由化の流れの中で「米国郵政公社のリニューアル」もビッグテーマとして浮上してきた。
 2002年の秋、ブッシュ米大統領は郵便事業の全面改革を目的に諮問委員会を設立。欧州諸国に続き、郵政改革に本格的に乗り出す方向を固めた。
 米国は日本郵政公社の動向について強い関心を示している。米国郵政公社の関係者は日本の郵政閣僚などとも積極的にコンタクト。郵政事業への民間参入や料金設定などについて日本の状況を詳しく調べているようだ。現在、米国郵政公社は全世界のおよそ半分の郵便物を扱っている。それゆえ米国郵政公社が民営化されれば、その影響は計り知れない。


 米国郵政公社の従業員は約75万人に及ぶ大所帯。年間630億ドルの収入をあげる「全米第8位の大企業」だ。
だが、近年のインターネットの普及により、従来の郵便配達事業が今後、縮小していくことは間違いない。実際、ここ十年の米国郵政公社の生産性はわずかしか向上していない。2010年までは年約2%の成長を遂げると見込まれているが赤字も25億ドルに及ぶ。
 また、同時爆破テロによる炭素菌事件によるダメージも大きかった。莫大な量の請求書などがテロ事件以降、オンライン決済にとって代わられたのである。
 こうした窮状からの脱却を図るため、米国は電子郵便事業の充実に加え、郵便事業のノウハウの輸出を画策している。例えば、中南米の郵便ネットワークが米国標準化されればグローバル物流も大きな影響を受けることになるわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD