第241回:在庫圧縮と顧客サービス

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第241回:在庫圧縮と顧客サービス

2009年12月 4日

 トヨタ生産方式では無在庫を念頭に進められている。例えば、トヨタの要請に応じて部品メーカーは必要な部品を必要な量だけ、必要な時間に納入することを義務付けられている。

 部品メーカーには、トヨタの生産設備などに故障が生じた場合にも突然の変更指示に耐えられる体制が要求される。

 部品メーカーの生産ラインはトヨタの組み立てラインに連動していて、順序通りに生産を行う。部品の出荷のための作業時間、輸送時間も綿密に計算され生産が行われている。そして、ここで重要なのは在庫である。

 事前に「つくりだめ」しておけばリードタイムは短くなるが、それでは部品工場やトヨタ工場に在庫の山ができてしまう。トヨタ生産方式では「在庫がどうなっているのか」という点に最大限の注目が払われる。「在庫を抱えたままでリードタイムを短縮できても、大きな成果は得られない」という発想なのである。そして、在庫なしでリードタイムを短くするために、部品の標準化や作業工程の改善を入念に行っているわけである。

 こうした無在庫オペレーションを販売物流にまで広げて行う企業もある。

 ただし、消費者は「豊富な商品群のなかから、必要な商品を必要なときに迅速に購入したい」と考えている。欠品や在庫切れがあれば類似商品を購買してしまう可能性もある。消費者の需要に迅速に応えるためには商品在庫をある程度抱え、欠品の出ないように注意しなければならない。

 すなわち、在庫圧縮と顧客サービスの相反する関係(トレードオフ)のバランスをうまくとることが重要といえよう。


 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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