第228回:米国のトラック物流の変遷

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第228回:米国のトラック物流の変遷

2009年8月21日

 米国のトラック物流の歴史は第一次世界大戦前にまでさかのぼる。鉄道が長距離輸送を担っていたのに対して、トラックは短距離輸送で力を発揮した。

 1920年代末からのニューディール政策に際して、道路が全米に敷設されるようになると、トラックの活躍の場は増加。また世界恐慌で職を失った人たちが、可能性を求めて個人トラック運送業を相次いで起業し始めた。
 
 他方、米国各州は鉄道輸送との競合激化を恐れ、州内の規制を強化するようになっていた。連邦政府も1935年には規制に乗り出した。

 ただし、第二次世界大戦が始まるとトラック運送業は軍需工場の物流を担うようになり、部品工場、組立工場、基地などの間の輸送を行うようになった。その際にトラック輸送計画の概念も生まれた。生産と消費拠点を結ぶという産業活動におけるトラックの地位も確立した。

 戦後は高速道路の発達もあり、半径1000キロの範囲を網羅するトラック輸送ネットワークが構築されることとなった。1970年代になると、コンピューターシステムを導入しての空車、積み荷作業の進捗状況報告、発車待ち、都市内配送中などの現状確認も行われるようになった。また、米大陸横断の営業権や主要都市間の営業権を持つ運送会社も増加してきた。

 1980年には自動車運送事業法が成立し、免許基準の緩和、ゾーン運賃の導入などが認められた。さらにクリントン政権時代、州内規制も緩和されトータルロジスティクスのコスト削減にも大きな影響を与えた。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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