第205回:輸出とリスク管理

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第205回:輸出とリスク管理

2009年2月 6日

 日本からの輸出取引は「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づいて原則は自由に行われる。ただし、「輸出貿易管理令第1条別表第1」に該当する貨物の輸出には経済産業大臣の許可や承認が必要。いわゆる「リスト規制」の対象となる。

 リスト規制に該当する貨物には通常兵器、大量破壊兵器、あるいはそうした兵器に関連する汎用品である先端材料、エレクトロニクス、通信関連機器などがある。こうした品目の輸出をむやみに許可、承認なく行うことはできない。

 また、キャッチオール規制(全品目輸出管理制度)にも注意する必要がある。同規制では大量破壊兵器などの開発が懸念される国、地域、テロリストなどに食品、木材などを除く全品目の輸出が規制されている。

 注意したいことは一見、大量破壊兵器などの輸出に関係のないような品目でも兵器製造の技術に結びつく可能性があるという理由で警告されることもある。

 たとえば、A社とその子会社は1980年末から近年まで、同社製の炭素繊維を「テニスラケットなどのスポーツ用品の製造」という使用目的で台湾に輸出していた。しかし、炭素繊維はミサイル製造などの軍事転用が可能で、経産省による調査が行われた。

 その結果、当該ケースでは兵器への転用は確認されなかったが、炭素繊維の使用目的が報告書と異なっていたことが判明。「テニスラケットなどスポーツ用品の製造」ではなく、医療機器などに使用されたケースがあったという。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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