第195回:小売業態の誕生と革新

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第195回:小売業態の誕生と革新

2008年11月21日

 神奈川大学の中田信哉教授の「小売業態の誕生と革新」(白桃書房)が刊行された。

 本書は、「業態というもの」「流通機構と業態」「見たことのない小売業」「ヒット商品と業態発生」など、小売業の業態などに関するさまざまなトピックについて、企業進化論の視点を採り入れながらエッセイ風に解説している。

 本書のまえがきでは「適応放散」という概念が説明されている。適応放散とは、たとえばアライグマ(アライグマ科)とタヌキ(イヌ科)など、全く異なる科(種類)の動物が、たまたま同じような環境下で同じような生活方法を採った場合、似た形になったことの結果をいう。ちなみに本書の本編では、「百貨店の適応拡散」について言及している。小売業の業態も動物の適応拡散に類似しているという、興味深い指摘である。


 本書では、こうした企業進化論の視点からの小売業の業態を観察・分析を、わかりやすく興味の持てる形で展開。「突然変異なのかスーパーの登場」「コンビニエンス・ストアの分化」「SPAは失敗の進化か」や、「ウォルマートは恐竜か」「コンビニの誕生と中立進化」「棲み分けは救いなのか」「変化は起こり続けるもの」などのトピックも、そうした視点から論が進められている。

 書名が示す通り、小売業のビジネスモデルや業態などについての解説書になるが、物流事業者などの他業界の方が読んでも参考になることが多い。本紙読者の方に一読をお薦めする。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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