第179回:世界のモーダルシフト

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第179回:世界のモーダルシフト

2008年8月 1日

 地球温暖化問題の深刻化を踏まえ、世界各国でモーダルシフトを念頭に置いての鉄道インフラの強化が進んでいる。そうした流れを受けて、たとえばトヨタ自動車はシベリヤ鉄道を活用しての自動車部品輸送を計画している。

 サンクトペテルブルクの同社組立工場で生産した乗用車をモスクワ、ハバロフスク経由で極東のナホトカ、ウラジオストクまで運び、最終的には海上輸送で日本まで持ち込もうというわけだ。

 ちなみに、日本からモスクワまでは海上輸送ならば35日以上かかるが、シベリヤ鉄道ならば約25日に短縮できる。もっとも、シベリヤ鉄道などの老朽化は相当なものなので、いかにリニューアルするか、新インフラを建設するかなどが大きな課題ともなっているようだ。
 


 中国の雲連港から中央アジアを抜け、カザフスタンに至る鉄道インフラの「チャイナランドブリッジ」にも注目が集まっている。中国はモーダルシフト対応のコンテナ輸送体制を整備、それにより輸送リードタイムのさらなる短縮が視野に入ってきている。

 また、欧州各国もモーダルシフトにこれまで以上に力を入れている。スイスでは世界最長の約57キロに及ぶ鉄道トンネルの工事が進められ、モーダルシフトを推進するインフラ構築が進展中である。イタリアのトリノからフランスの中部都市リヨンへの高速鉄道事業も、18年の完成をめどに進められている。

 「欧州国際貨物連携プロジェクト」も進められ、イタリア、スイス、ドイツ、オーストリア、オランダの五か国の相互乗り入れ、需要管理の一元化、手続きの簡略化などが行われている。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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