第164回:棚卸資産としての在庫

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第164回:棚卸資産としての在庫

2008年4月18日

 在庫は、会計用語では「棚卸資産」となる。売れ残った在庫が多ければ、皮肉なことに「好業績」と見なされることもある。

 無論、これは実際のキャッシュフローを反映したものではない。「在庫は少ないほど、キャッシュフローは増大する」という考え方が、近年では主流となりつつあるのだ。

 在庫は、伝統的に資産として見なされてきただけに、税務との関係からの注意も必要となる。仕入れた商品の在庫がいくらあっても、売り上げ原価に組み込めないのである。

 ちなみに、売り上げ原価とは「売り上げにかかる原価」のことで、売り上げと対応させることではじめて経費として計上できるのである。
 


 また、売れ残った商品を放置しておけば「棚卸資産の増加で間接的な税負担も増える」ということにもなる。在庫量次第で、利益が大きく変動することもある。

 企業の規模にもよるが、原則的には棚卸しは毎月するのが望ましい。在庫管理をしっかり行うことが、経理面にも好影響を与えることになる。

 帳簿の数量と棚卸し数量が異なる場合、その違いを修正し、原因を分析する必要もあり、データ入力ミスや記帳漏れなどが原因となっている可能性が高い。

 もちろん、在庫量について単価、数量を変えるなどの不正操作を行うことは絶対に許されない。企業利益の非合法的な改ざんにもつながる。

 なお、在庫処分に関して自社関係者などへの、あまりに有利な価格での商品の売却は、寄付や給与とみなされることもあるので慎重に対応しなければならない。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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