第162回:日本郵政のファミリー企業

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第162回:日本郵政のファミリー企業

2008年4月 4日

 日本郵政グループは09年3月をめどに、同社とは資本関係のない「物流ファミリー企業」を買収する計画を進めている。総額380億円ほどで買収し、郵便事業会社の子会社とする方向である。

 買収対象は、郵便物や宅配物の主要都市間輸送や大都市内輸送を行っている、日本郵便逓送や日本高速物流、関東郵便輸送などになる。

 日本郵政には資本関係はないものの、郵政OBが経営に関与し、郵政に経営依存しているファミリー企業が二百社以上もある。これらのファミリー企業に対しては、民営化以前から「競争主義の原則に反した不自然なシステムだ」との批判の声が大きかった。


 そのまま放置すれば、確実に3年後の目標とされている上場の大きな障壁となると考えられていた。物流ファミリー15社の一本化は、こうした指摘をふまえてのものである。
 

 しかし、物流ファミリー企業の吸収は単に組織を肥大化させるだけで、かえって大きなマイナス要因ともなりかねない。子会社化したことで問題が解決したとはいえないだろう。

 さらに、郵便事業会社には「提携民間運送事業者」が現在、16社存在する。郵便局ネットワークのオープン化という視点から行われていることで、保冷扱いの荷物などの全国配送が行われている。

 これまでは「官業」という立場で、収益力よりも郵便ネットワークの構築に重点が置かれていたが、はたして民間企業として、これほど負荷のあるネットワークでやっていけるのだろうか。巨大な赤字企業とならないかという懸念が残ることになるかもしれない。

2008年04月04日

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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