第160回:海外から来た物流不動産ビジネスの主役

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第160回:海外から来た物流不動産ビジネスの主役

2008年3月21日

 グローバル・インテグレーターの世界戦略と歩調を合わせるかのように、プロロジスやAMB、ユーリンプロなどの「グローバル物流施設メガプロバイダー」も、日本を含むアジア市場に進出してきた。

 例えばプロロジスは2004年から中国での業務も開始。大連、天津、上海、青島、寧波、広州といった主要港に物流拠点を建設している。


 欧米のグローバル物流施設プロバイダーは、規制緩和の流れのなかで不動産投資ファンドとリンクさせ、日本市場参入を進め始めている

 日本の倉庫会社や物流施設開発会社は、欧米流の最先端の「ロジスティクス機能」を持ち合わせた物流施設の建設でも遅れている。

 日本で倉庫業は厳しい規制に守られ、新規参入は難しかった。そのため日本は倉庫産業、物流施設産業の国際化という点でも出遅れてしまった。

 その結果、グローバル物流に関していえば、倉庫関連でも欧米企業が強力なイニシアチブを握ろうとしているのである。

 欧米の物流メガ企業がグローバル戦略を推進する流れのなかで、物流センターなどについても世界規模での供給システムを構築されようとしている。日本や中国の主要な物流施設や物流拠点についても欧米資本が制圧する可能性が高まっている。


 欧米のグローバル物流施設プロバイダーの動きに対抗すべく、日本の大手倉庫会社や物流施設開発会社も精力的に動き出している。

 三井倉庫、三菱倉庫、住友倉庫、澁澤倉庫などの大手倉庫会社や不動産投資ファンドに、大型物流施設を組み込む戦略を打ち出している野村不動産、大和ハウス、コマーシャル・アールイーなどの不動産会社など、日本企業も巻き返しを図ろうとしている。

 また、「物流不動産」というジャンルを開拓したイーソーコも独自の「物流不動産ビジネスモデル」の構築を進めている。

 他方、輸送部門では国際物流事業での競争激化を受けて、日本側もヤマトホールディングスと日本郵船が海・陸・空の物流に関する補完的かつ広範な業務・資本提携を発表するなど、物流業界再編の動きが加速している。

 佐川急便もアジアワイドでの物流ネットワークの強化に積極的に取り組んでいる。さらにいえば、日本郵政公社も国際物流事業参入という方向性を打ち出している。

 だが、日本企業の出遅れ感は否めない。日本が欧米のグローバル・インテグレーター(世界物流メガ企業)の世界戦略をもっと早めに感知し、国際情勢を見据えた郵政民営化を迅速に進めていれば、「売上高24兆円の超複合企業」として世界最大の郵便・物流民間企業が早期に船出した可能性もあった。

 確かに日本郵政は、国際郵便、国際小口物流サービスなどの強化にも乗り出しているが、「民営郵政」が完全に軌道に乗るまでには10年に及ぶ移行期間を経なければならないともいわれている。しかしそれでは遅すぎるだろう。グローバル物流ネットワークを欧米資本に握られれば、残念ながら日本の未来はない。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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