第157回:流通チャネルの主役

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第157回:流通チャネルの主役

2008年2月29日

 メーカーが生産を行い、出来上がった商品は卸売業を通して、小売りの店頭に並ぶ。メーカーは単にモノを生産するだけでは収益を得ることができない。小売りの店頭で商品が売れて、はじめて利益を確保することができるのである。

 したがってメーカーは生産するだけでなく、「いかに商品を売れるようにするか」という仕組み作りもしなければならない。そこで卸売業や小売業を組織化し、販社制度の導入などを図ったわけである。

 多くの企業が他メーカーの商品も扱う併売卸店ではなく、自社の商品のみを扱う専売卸を増やすように努めた。多くのメーカーは小売り段階までの系列化も促進した。店内改装、宣伝広告費などのサポートも行った。
 


 しかし平成不況以降、さまざまなメーカーは相次いで組織のスリム化を求められるようになった。卸売業や小売業の流通系列化を重荷と感じる企業も増えてきた。系列の販社が経営コンサルタントを招き、系列の小売店のために顧客開拓のノウハウなどの講習を行うこともある。製造、販社、小売店が一体となり、専売ネットワークの高度化を図ろうというわけである。

 他方、小売業が流通チャネル構築の主導権を握る動きが出てきている。欧米ではウォルマートやカルフール、テスコといったメガリテール(超巨大小売り)企業が、メーカーに対して支配的な立場を築き始めている。

 この流れは日本でも大きくなりつつある。流通の主役がメーカーから小売りに変わろうとしているのだ。しかもイオンやヨドバシカメラなど、小売業が物流改革についても主導権を握る方向性も出てきているのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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