第151回:欧州物流拡大の課題

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第151回:欧州物流拡大の課題

2008年1月18日

 欧州連合(EU)は、緊密な物流インフラの欧州全域での整備を進めている。域内高速道路網の整備など、トラック輸送網の充実にとっても、不可欠な物流インフラの高度化が最大の目的となっているのである。

 また、EUの東方への急速な拡大により、米国並みの「空の交通の充実」も急務となっている。西欧の場合、欧州規模での物流を考える場合のハブとなる空港はいくつもある。

 オランダのスキポール、フランスのシャルル・ドゴールなどが起点となり、西欧の航空貨物輸送が行われているのである。


 さらにいえば、フランス政府はパリ近郊のシャルル・ドゴール空港、オルリー空港に次ぐ第3の国際空港の建設計画を進めている。建設予定地は仏北部の都市ショルヌで、2020年の開港を目指す。

 フランスの物流インフラの強化も視野に入っている。フランス新幹線(TGV)を運行することにより、空港からパリ市内までわずか30分での往来が可能になる。
 
 TGVは、さらに北に延長されることになるだろうから、ベルギーやオランダ、あるいは英国とも、新空港はダイレクトでつながることになる。空港民営化の流れの中でロジスティクス事業に十分対応できる高度な設備・施設も整備されてきている。

 もっとも東欧まで欧州物流圏の枠組みを広げるとなると話が変わってくる。東欧には西欧に匹敵するハブ空港もハブ港湾も存在しない。

 東方拡大の流れの中で、いかに東西欧州の物流の連結をスムーズにするかということが、今後のEUの課題となっているわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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