第150回:ロジスティクスのトレードオフ

連載トップへ

第150回:ロジスティクスのトレードオフ

2008年1月11日

 「トレードオフ」とは二律背反のことである。ロジスティクスの高度化を推進するためには、さまざまなトレードオフを解消していく必要があるといえよう。

 例えば、「ロットサイズと在庫」の問題。製造業が大ロット生産を望んでも、注文量がそれに見合わない場合には必然的に在庫が増えてしまう。

 したがってジャスト・イン・タイム方式の導入などでバランスをとる必要が出てくるわけである。また、「在庫と輸送費」も古典的なテーマである。トラックをいつも満載にすれば輸送コストは最小化される。


 だがその結果、在庫コストは増加する。解決策として、クロスドッキングの活用などがあげられる。満載になるように生産を可能な限り遅らせ、混載を可能にするのである。

 さらにいえば「リードタイムと輸送コスト」の問題もある。多頻度小口で出荷が行われれば、リードタイムは短縮される。

 しかし、大量輸送のほうが輸送コストは低下する。あるいは、「製品の多様性と在庫」のトレードオフ。商品の種類が増えれば消費者は喜ぶが、ロジスティクスマネジメントは複雑化する。当然、輸送コストと在庫コストは増える。

 商品を多様化するならば、部品などのモジュール化や標準化を推進する必要があるわけだ。

 最後になるが、「費用と顧客サービス」の問題もある。製造コスト、在庫コスト、輸送コストなどを削減すれば、当然ながらさまざまな顧客サービスが低下してしまう。

 むろん、こうしたトレードオフを完全に解消することはできないだろう。妥協点を探りつつ、効率的な物流システムを構築する必要があるわけだ。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD