第144回:投資対象としての物流施設

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第144回:投資対象としての物流施設

2007年8月 7日

 物流施設をファンドに組み込むことは、機関投資家などの立場から考えると、多くのメリットがある。物流施設は他のアセットと比較した場合、その賃貸契約の期間が長い。また、物流施設としての立地が良い場合、代替テナントの入居もスムーズに進むため、比較的安定した「投資商品」とみなすことができる。

 物流施設の賃貸契約は5年から10年が基本となる。低温商品を扱う物流施設については、その汎用性が低く当該事業者の仕様となっているため、15年以上となるケースも多い。すなわち物流施設は長期で利用することが基本となっている「商品」なのである。


 同時に、生産地から消費地への物の流れは、経済活動の根本であり、物流施設はその司令塔的な役割を担うため、常に安定した需要があるわけだ。それに物流施設の市場は、荷主企業の需要に基づいて建設されるということを考えると、オフィスビルの市場に比べると、需給のバランスの良い市場ということが指摘できる。

 加えて、SCM、3PLなどの急速な普及、物流高度化、物流効率化が、企業の大規模物流施設の利活用を促進している。同時に企業のオフバランスニーズや財務体質の改善なども、物流施設を収益不動産としてマーケットに押し出す要因となっている。

 もっとも、物流ファンドには特有のリスクも存在する。例えば、オフィスビルや商業施設に比べると物件数が少ない。物件におけるテナント数も少ない。小規模な施設では、リスク分散が利きにくいという傾向も出てくる。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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