第142回:エシェロン在庫

連載トップへ

第142回:エシェロン在庫

2007年7月26日

  在庫管理を行う際、ある特定の拠点の在庫の削減を画策すると、他の拠点の在庫が、その反動で増えてしまうということがあるかもしれない。せっかくの在庫管理が「部分最適」に終わり、トータルな改善にはつながらないのである。

 こうした場合、欧米では「エシェロン在庫」の概念を念頭に在庫戦略の構築が推進される。エシェロン在庫とは、「ある特定の物流センターや店頭などの在庫ではなく、サプライチェーン全体での在庫のことである。


 エシェロンとは「階層」という意味である。したがってエシェロン在庫には物流センター、配送センターや小売店舗などのそれぞれの在庫総数に加えてトラックや航空機、船舶などで輸送途中にある「流通在庫」も加えられる。

 在庫管理を緻密に行う場合、拠点別に出荷量を調整していくよりも、サプライチェーン全体での流れを観察、分析し、下流へのモノの流れの行方を読みながら管理するほうが精度が高くなるのである。

 さらに、発注を行う在庫地点から最終需要地点に製品などが到着するまでの経過時間のことを「エシェロンリードタイム」ということもある。

 ちなみに、欧米で進展中の次世代バーコードシステム「EPCグローバル」ではICタグが多くの情報を搭載するためではなく、在庫の位置情報を掌握するために活用される方向にある。これは流通在庫を正確に把握し、エシェロン在庫のレベルで在庫戦略を構築していくうえで極めて大きな効果が期待できるからでもある。エシェロン在庫の概念を理解することで在庫管理を巨視的かつ戦略的に行えるようになるわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD