第139回:ロジスティクスの高度化

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第139回:ロジスティクスの高度化

2007年7月 5日

 いうまでもなく、ロジスティクスの高度化を実現するには、トータルリードタイムの短縮と在庫削減を両軸とする改革が不可欠である。トータルリードタイムの短縮を実現することで、需要変動の激しい多品種少量受注が可能となる。そして、リードタイムを短縮することで過少在庫への適切な対応が可能になり、需要予測の精度についても向上が期待できる。

 また、在庫管理の徹底も大きなテーマである。定期的に在庫調査を行い、商品の使用率、安全在庫の厳密な管理を行うことで、ロジスティクスの実践レベルは上がる。在庫回転率(年間売上÷平均在庫レベル)を引き上げる努力を惜しまないことで、在庫保管コスト削減や企業の財務体質の向上が実現できる。


 ただし、商品の種類が増えるとサプライチェーンは複雑になる。小ロットサイズで多品種の場合、高コストで効率低下となる。当然、この点を踏まえて短リードタイムと在庫削減を実現していく必要がある。

 すなわち多品種の場合、リードタイムを少品種と同レベルにするには物流センターに多品種を保持する必要が出てくる。つまり、多品種になれば輸送コストと在庫コストがかさむことになるわけである。また、緻密な需要予測を行うことも容易ではなくなる。

 そこで、「商品の遅延差別化」といわれるロジスティクス設計概念が適用されることになる。商品の需要変動の大きい要素を、可能な限り最後に加えるという考え方だ。かつてアパレルメーカーのベネトンは、染色工程を後にもってくることで需要予測の緻密化を図った。これは、この設計概念に基づいての戦略であった。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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