第130回:トヨタ生産方式の真実

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第130回:トヨタ生産方式の真実

2007年4月 6日

 トヨタ生産方式に関連する書籍の出版が相次いでいる。トヨタ生産方式が物流改善に応用できることから、物流関係者の注目度も高い。けれども、その本質を理解することはなかなか難しい。本紙で連載の中村奎吾氏の「トヨタ自主研回想録」を読むと、そのことが実によくわかる。

 トヨタ生産方式の思想を知るには、その生みの親ともいえる大野耐一(故人)の名著「トヨタ生産方式」(ダイヤモンド社刊)を読むことがベストといえる。しかし、大野が体系化したトヨタ生産方式が、実際にどのような過程で実務プロセスを完成させ、それが現場で生かされているかを知るには、「実践トヨタ生産方式」(岩城宏一著、日本経済新聞社刊)を熟読する必要がある。


同書では、第1章でトヨタ生産方式の特徴と従来の生産方式との違いが詳細に述べられ、次いで第2章の「トヨタ生産方式の実際」において、その導入にあたっての心構えと工場内物流の一連の手順が詳しく解説されている。さらに第3章でその標準作業、第4章でトヨタ生産方式導入への社内改革、第5章で他の生産管理手法との比較について述べられている。そして、そのうえで第6章で導入の効果、第7章で経営活動への波及について解説されている。最後の第八章は用語解説となっている。

 また、本書のエピローグではトヨタ生産方式の系列、取引先企業への浸透に大きく寄与した「トヨタ自主研究会」発足時の伝説的資料が掲げられている。トヨタ自主研の設立の意図が探れる極めて貴重な資料である。

 トヨタ生産方式の本質を理解したい方に一読を勧めたい。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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