第127回:商業集積理論と物流

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第127回:商業集積理論と物流

2007年4月 1日

流通論の中に「商業集積」という考え方がある。商業集積とは一定の場所・地域に小売業や卸売業などが集中した状態をいう。また、商業集積が顧客を引き付ける地理的範囲のことを「商圏」という。


 商業集積には歴史的経緯から自然に出来上がった「自然発生的商業集積」とデベロッパーなどによる「都市計画的商業集積」がある。前者は神田の古本屋街や秋葉原の電気街、横山町の問屋街など、後者は表参道ヒルズや横浜赤レンガ倉庫などが当てはまる。商店街は自然発生的でショッピングセンターは人工的な商業集積といってもいいだろう。むろん、両者が融合した複雑系の商業集積も多数存在する。

 近年、不景気の影響で地方都市などの駅前商店街が「シャッター通り」と呼ばれるなど閑散とした雰囲気となり、反対に郊外にショッピングセンターやアウトレットセンターなどの巨大店舗群が出来上がるという現象が指摘されているが、これは商業集積の変化と考えられるわけである。

 また、人口が多くなると商業集積の吸引力は強まる。駅周辺の人口よりも郊外の人口が多くなれば、郊外型のショッピングセンターに人々は向かうことになるわけである。商業集積の理論は米国を中心に進んでいる。「ある都市にディスカウントセンターが出店する場合、駅前か郊外か、どちらが有利か」といったことを科学的に分析することも可能になっている。

 もちろん、商業集積の考え方を物流戦略の構築に活用することも可能である。これまでとは違った視点から、的確な意思決定ができるケースも出てくるだろう。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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