第122回:生産物流の見直し

連載トップへ

第122回:生産物流の見直し

2007年3月11日

 松下電器産業が、世界最大の能力を持つプラズマパネルの工場を、1600億円かけて兵庫県尼崎市に新設する。松下の単独工場としては最大級の投資となる。松下に限らず、東芝、シャープなども最新分野の巨大規模の国内工場の建設を進めている。

 数年前には中国に生産拠点の大移動が行われるということが注目されていたが、ここにきて生産拠点の国内回帰の動きが加速してきている。技術進歩の目覚しい最先端の半導体・液晶工場などでは、多くのノウハウや新技術が国外に流出することを避けたいという思惑が大きいようである。


 また、これまで低コストということで工場移転が進んでいたが、中国の人件費や地価などが、このところ急速に上昇してきており、「中国イコール低コスト」という図式が崩れてきたということも指摘できる。

 さらにいえば、技術進歩の早い業種では開発、営業、物流、生産が顧客と一体となって動ける生産拠点として、国内の大都市圏が最適という判断が出てきているようである。人件費や地価が高くても、物流などにスピード感が出るなどのメリットがあれば、その方が有利という考え方である。

 冒頭で紹介した松下の尼崎新工場も、その一例といえるだろう。加えて、生産物流の高度化、システム化、工場のIT武装やハイテク化、製造シミュレーションの本格導入などが近年、急速に進んできたということも指摘できる。工場の敷地内配置、人員配置、機械設備配置などの理論化、体系化なども進んでいる。

 そして当然のことながら生産拠点の国内回帰の動きは、物流部門にも多大な影響を及ぼすことになるわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

関連書籍のご案内

GoogleAD