第118回:物流における「速度の経済」

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第118回:物流における「速度の経済」

2007年2月11日

 リードタイムの徹底的な短縮など、調達から生産、流通、販売にいたる一連の過程をスピードアップさせることで、経済性を高める「速度の経済」という考え方がある。大量輸送、大量保管など、規模を大きくすることで経済効率を上げる「規模の経済」という考え方はよく知られている。

 また、物流に決済機能や不動産機能、保険機能などを付加し、そのフィールドを拡大することで経済活性化を図る「範囲の経済」という考え方もある。


 規模の経済や範囲の経済は従来から相当に注目されてきたが、ここにきて「速度の経済」に対する注目も大いに高まりつつある。情報認知やその処理が飛躍的にスピードアップし、意思決定のスピード化が達成され、それが生産・販売・物流過程での時間的な圧縮を可能にすることで、経済性が大幅にアップするわけである。

 例えば、スペイン拠点の世界的なアパレル企業「ZARA」(ザラ)。スペインのラコルーニャには同社の巨大拠点がある。同拠点ではデザインセンター、工場、物流センターが同一の敷地内にある。情報共有を徹底させた垂直統合型の生産・物流拠点である。在庫回転率の向上、リードタイムの短縮を命綱にSCMが迅速かつ予測可能なリズムで実践されている。

 生産、注文の納期も厳密に守られている。完成した商品は床面積50万平方メートル、5階建ての巨大物流センターから全世界に出荷。商品の大部分はハンガー保管、ハンガー出荷、ハンガー輸送される。もちろん同物流センターは24時間体制で稼働している。規模の経済、範囲の経済、速度の経済が有機的に統合され、行われているわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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