第109回:SCMとロジスティクスの相違点

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第109回:SCMとロジスティクスの相違点

2006年12月10日

 米国の経営学者であるクーパーとエルラムは、論文の中でSCMの進展状況を3段階に分け、SCMがロジスティクス(戦略物流)という概念よりも優れている点として、「経済的には規模の経済を実現し、能力の操業度を低下させるリスクを回避し、財務リスクを軽減することができること。また経営的にはコアビジネスへの集中が可能となること」をあげている。

 さらに戦略的には、サプライチェーンでの競争優位がSCMの実現により長期的視野のもとに確立できる点も指摘している。SCMの構築により、在庫管理、トータルコスト、情報システムの構築が、従来のロジスティクスでは独立的に、各企業が個々に行われていたのに対して、共同、共有、共存されて効果的に実現できるというのである。


 SCMという語が出てきた当初は、ロジスティクスとの明確な区別が見られなかった。だが、企業の枠を超えて、在庫圧縮を行うことに重点が置かれるようになると、SCMという語が好んで使われるようになり、やがて「企業間の境界を超えて実行されるロジスティクス活動」がSCMと考えるようになったのである。

 また、英国の著名な経営学者であるクリストファーは「製造またはあらゆる付加価値活動を含む業務本体を通り、さらに仲介業者をも通り抜け、顧客にいたるパイプライン」がサプライチェーンの概念の根底にあると述べている。さらにクリストファーは、SCMを「顧客に対して、より低コストで、より多くの顧客バリューを生み出すために、サプライヤーや物流業者、顧客との関係を管理する手法」と定義している。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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