第107回:SCM概念の誕生と変遷

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第107回:SCM概念の誕生と変遷

2006年11月26日

 SCMについて論じた最初の論文は、1982年に米国の経営学者であるオリバーとウエバーが発表したものとされている。しかし、その内容はロジスティクスとほとんど同じ内容ともいわれている。

 もっとも実務レベルではSCMという語は、オリバーたちが論文を発表する以前から使用されていた可能性が捨てきれない。また、ラ・ロンドという米国の経営学者は、SCMという語は1980年代の初期に経営コンサルタントたちが導入した語であると述べている。 初期のSCMに関する多くの論文では、ロジスティクスの概念と大きな差異は見られなかったが、1990年代になると、IT革命による情報通信技術の発達の影響もあり、SCMが多企業間における情報共有やパートナーシップの視点から、ロジスティクスの概念とは異なる概念として論じられるようになってきた。


 また、SCMの研究で著名な米国の経営学者ランバートは、多くの研究者によって、SCMの概念や構造が研究され始めたのは、1990年代に入ってからのことであると指摘している。そしてSCMの考え方についての議論が進むにつれて、SCMとロジスティクスの概念の相違点、共通点についての検証が進められることになる。

 ただし、SCMの流れにつながる情報ネットワークを利用した企業連携の歴史は、1970年代後半頃にまで遡ることができる。IT革命以前には「情報インフラが実際のロジスティクスオペレーションにかみ合う形で整備できない」という点が課題となっていたが、米国企業はかなり早くから情報ネットワークの構築に乗り出していたのだ。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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