第101回:3PLの失敗要因

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第101回:3PLの失敗要因

2006年10月15日

 3PL市場が活発化している。ロジスティクスの高度化、情報武装化に伴い、3PL事業者にアウトソースする事例は増加の一途をたどっている。しかし、それでも3PLビジネスが、すべてうまくいっているわけではない。失敗に終わっている事例も多々、見かけられる。

 3PLが失敗する理由のひとつに過度な業務の委託がある。荷主企業が3PL企業の実力を過度に評価した場合、中核業務までをアウトソーシングする可能性が出てくる。3PL事業者の視点から考えると、能力以上の業務を受託することは大きなリスクを負うことになる。 したがって3PLにおいては自社でやるべき業務、できる業務が何なのかを十分に考慮する必要があるわけだ。


 また、過度な物流コストの削減を行うのも危険が伴う。「物流をコストで管理する」という観点から物流コストの削減を金科玉条に扱うことで物流の質やサービスの低下が起これば、信用は失われることになる。

 さらにいえば、荷主企業と3PL事業者の間の情報共有、情報開示が十分に進んでいなければ、3PLの成功は疑わしくなる。最低限の対応として、返品、在庫管理、入出庫業務などの情報共有、情報開示を徹底しなければならないだろう。

 荷主企業が3PL事業者を信用せず、3PL事業者が徹頭徹尾、荷主の立場に立っての物流改善を実践できなければ、3PLの成功はありえない。荷主企業と3PL事業者の関係はまだまだ対等の関係からはほど遠いという声もある。だが3PLの実践においては「ウィン─ウィンの関係」をしっかりと構築することが必要となってくるのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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