第10回:物流の天才 ~サム・ウォルトン~

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第10回:物流の天才 ~サム・ウォルトン~

2005年1月16日

 ウォルマートは、1962年に当時44歳のサム・ウォルトンによって、アーカンソー州の小さな町ロジャーズに誕生した。
「ビジネスは大都市から始めるもの」という当時の常識を覆し、ウォルトンは競争の少ない小都市を軸に事業を開始した。
地方の小都市の場合、人口が少ないので多くの来客は見込めない。だがコストもかからない。自分の思い描く適正規模の店舗を開くことができると考えた。ちなみにウォルトンは、大変な節約家だった。社名をアルファベットで7文字の「ウォルマート」としたのも社名の字数が少なければ広告料もかからないという発想からだった。
 ウォルトンはコスト意識が徹底していると同時に「物流の天才」でもあった。


 現在では多くの企業が物流コストの可視化、透明化を推進しているが、ウォルトンの創業当時は「販売で得た利益を物流で吐き出してしまう」という企業がほとんどだった。そうした中でウォルトンは物流のコストダウンを徹底させることで企業体力の向上を実現した。
 例えばそれまでの米国小売業では倉庫や物流センターを販売店に商品を送る補給基地と見なしていた。販売網を作り、それに合わせて要所に物流センターを設けた。
 ところがウォルトンの発想は逆だった。彼は物流センターの位置を重視した。そして物流センターを軸に出店戦略を練った。物流センターの周辺500km以内にしか新店を出さず、トラックの輸送時間を数時間以内に保った。
  日本のコンビになどが導入したことでも知られる「ドミナント戦略」を考案したのもウォルトンだったのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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