第72回:解雇時の最低限のルール

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第72回:解雇時の最低限のルール

2016年2月11日

 前々回、退職時のルールについてお話ししましたが、「退職」ではなく「解雇」を行う場合は、より慎重な対応が必要となります。解雇は社員への影響が大きいため、不当な解雇から社員を守ることを目的に、労働基準法でも解雇を行う時の最低限のルールが定められています。


 そのルールの一つ目が、解雇しようとする日の30日以上前に解雇する旨の予告をしなければならないということです。これを「解雇予告」といいます。また、30日以上前に解雇予告ができない場合は、平均賃金の30日分以上の「解雇予告手当」を支払う必要があります。これは懲戒解雇の場合でも同様の扱いとなり、解雇予告、または解雇予告手当が必要になってきます。労基署から認定を受けた場合は解雇予告や解雇予告手当の支払い義務が免除されるという制度もありますが、認定の要件が厳しく、また、認定までの時間がかかるため実際はあまり活用できません。


 ルールの二つ目が、解雇できない期間が定められているということです。解雇できない期間として、業務上災害による休業期間(労災による休業期間)と、その後30日間があります。これは業務中のケガに限ったことではなく、業務が原因でうつ病になったと労災認定が下りれば、うつ病による休業期間と、その後30日間も解雇できない期間の対象になります。そのほかに、産前産後休業期間と、その後30日間も解雇できない期間となっています。


 労働基準法で前記の解雇時の最低限のルールが定められていますが、これらを守ったとしても解雇時にはトラブルがつきものとなってしまいます。会社と社員が解雇の条件で合意しても、後で「言った」「言っていない」と紛争に発展することが多々あります。次回は、このように解雇時にトラブルになった事例を交えて対応策をお話ししていきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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