第95回:「ブラック企業」のレッテル

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第95回:「ブラック企業」のレッテル

2016年12月22日

 最近、ニュースなどで「ブラック企業」という言葉を耳にする機会が増えています。違法状態で社員に過重労働を強いて、その体質が改善されない企業の俗称をブラック企業といいます。ニュースに出てくるのは大企業で、うちの会社は小さいので関係ないと考える社長もいるかもしれませんが、会社の大小に関わらず、ブラック企業について国も問題視するようになってきました。


 厚生労働省は平成25年9月、労働者から寄せられた情報などをもとに、5000を超える「ブラック企業」に対して重点監督を実施しました。実は、この重点監督の対象となった会社の数で、業界別で上位に入っているのが「運送業」でした。これは「うちの業界(会社)はブラック企業だ」と思っている労働者が、運送業では比較的多いということを意味します。


 長時間労働、未払い残業代、健康確保の措置がないなどのコンプライアンスの欠如、労務管理の甘さがある会社は要注意です。また、必ずしもそうではない、あるいは社長はそう思っていないのにブラック企業のレッテルを貼られてしまうケースもあるのです。残念なことですが、現在は何か少し問題を見つけると「ブラック企業だ」と決めつけてしまう風潮があります。定額残業制を導入しているというだけで、その会社をブラック企業とみなす労働者団体もあるくらいです。


 一度貼られた「ブラック企業」のレッテルは、なかなか剥がすことができません。影響は採用・退職、荷主との関係など、さまざまなところに及ぶかもしれません。荷主の無理な要求に必死で応えていたら、SNSでドライバーにブラック企業とつぶやかれ、それが当の荷主の耳に入って仕事量が減り、売り上げが落ちてしまった。また、ブラック企業とみなされた結果、人手不足に拍車がかかり、長時間労働、残業代の未払い請求などがさらに助長されるという悪循環に陥る可能性もあります。


 以上のように様々なリスクが取り巻く環境の中で適切な労務管理を実施することは、極めて重要となります。今更変えるのは難しいからと諦めずに、労務管理の見直しに本腰を入れたほうが宜しいのではないでしょうか。次回からは、具体的な労務管理の見直し方法について「労働時間」「賃金制度」「就業規則」の三つをキーワードにお話ししていきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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