第92回:厳しくなる行政の調査

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第92回:厳しくなる行政の調査

2016年11月10日

 近年、企業のコンプライアンス(法令順守)が重視されており、運送業も例外ではありません。それに伴い、長時間労働、未払い残業代など、労働条件に関わる違反を取り締まる労働基準監督署(労基署)の調査が厳しくなっています。また、社員が自身の労働条件についての違法性を申告することも増え、会社に労基署の調査が入る件数が増えてきているのです。


 一方で、近年起きた大型トラックの事故、高速バスの事故など一連の大事故を受け、運輸支局の監査もより厳しくなっています。監査の対象は、改善基準違反、アルコールチェック、健康状況の把握、点呼未実施などがあり、軽微な違反は「警告」「休車」、悪質な場合は「事業停止」「許可取り消し」と経営に重大な影響を与えてしまいます。また、処分は会社名を公表して行われますので、荷主に処分内容が知れ渡り、取引に影響が出ることも考えられます。


 そして、近年は労基署と運輸支局、両者の連携が強まってきているのです。平成20年に相互通報制度ができ、最新の平成25年度のデータでは、運輸支局から労基署への通報が256件、労基署から運輸支局への通報が974件ありました。


 この数字からもわかるように、会社に対して労基署が労働法違反を調査するとともに改善基準違反を運輸支局に通報して、直後に運輸支局が監査に入るという流れが多くなっているのです。


 労働法違反を犯している会社は、同時に改善基準違反も犯している可能性が高くなり、つまり、労基署の調査が入れば、運輸支局による「休車」「事業停止」などの処分が目に見えてくるということになります。こうした労基署と運輸支局の連携は、今後も強まると考えてよいでしょう。


 会社はより適切な管理を行い「労働法」「改善基準」の順守に取り組んでいくことが重要な課題となっていきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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