第87回:雇用契約書による確認

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第87回:雇用契約書による確認

2016年9月 1日

 数回に渡って面接時の注意点についてお話ししてきましたが、経営者の皆さんは実際に採用する時、採用条件を口約束のみで済ませているということはないでしょうか。せっかく面接で慎重に確認し、採用条件を明確に決めたのであれば、口約束ではなく、きちんと書面に残しておくことが重要です。書面がなければ、後になって労働条件について「言った、聞いていない」の無用なトラブルになる可能性があるからです。


 また、労働条件を書面に残しても「労働条件通知書」というかたちで一方的に通知する会社もあります。法律上は特に問題ないのですが、このやり方はお勧めできません。会社が「労働条件はこの内容です」と一方的に通知するだけの労働条件通知書では、社員がその内容に同意したという明確な証拠が残らないのです。極端な話ですが、書面をポイと捨てられて「労働条件通知書は渡されていません」と主張されると、どうなるでしょうか。残念ですが、渡したという確たる証拠がなければその主張に対して反証ができないのです。


 そうならないために、お互いが署名・捺印し、各1部ずつを持ち合わせる「雇用契約書」として書面を残しておくことをお勧めします。お互いが署名した「雇用契約書」を1部ずつ持つことにより、労働条件を聞いていないという社員からの主張を防ぐことができるのです。


 また、「うちは雇用契約書を取り交わしている」という会社でも、話を聞いてみると、簡単な労働条件を示しただけの文書1枚という会社もあります。せっかく社員と契約を取り交わす機会なのですから、定められた労働条件に加えて、これは必ず目を通しておいて欲しいという重要な事項を盛り込んでおくことが必要でしょう。具体的には、順守事項、服務規律などを就業規則から抜粋して記載しておくのです。社員に守ってもらいたい事項を採用時に書面で渡しておき、周知させておくことが重要になります。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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