第84回:社員の健康状態を把握する方法

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第84回:社員の健康状態を把握する方法

2016年7月28日

 長時間労働が余儀なく行われる運送業では、会社がドライバーの健康状態を把握し、その結果によっては業務に就かせないなど、必要な措置を取ることが求められます。もし、健康状態に不安を抱えるドライバーを、そのまま業務に就かせて事故が起こった場合、前回お話したように会社が多額の賠償責任を負うことになってしまうのです。


 このような事態を避けるためにも、事前に健康状態を把握することが大切になってきます。ドライバーの健康状態を把握する方法として、最も身近なものが健康診断になります。健康診断というと「毎年1回実施」など回数の話がメーンになりがちですが、健康診断をどのように運用していくか、あらかじめルールを定めておくことも重要となってきます。


 例えば、ドライバーの中には「時間がない」「面倒だ」との理由から健康診断を拒否してくる者もいます。そこで、「正当な理由なく拒否した場合、懲戒処分を適用する」と就業規則に厳格なルールを定めます。このルールをもとに会社はドライバーに必ず健康診断を受診させるのです。


 また、ドライバーが「健康診断の結果は個人情報であるため、会社には見せたくない」と主張する場合もあります。確かに診断結果は個人情報になるため、無理やり取り上げることはできません。しかしながら、会社には健康診断結果を把握、保管する義務が課せられています。それなら、医師から直接預かればいいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、医師からは本人の同意がないと診断結果を直接、会社に渡せないと言われてしまいます。このような事態を避けるためにも、事前にドライバーから診断結果を会社に通知する旨の同意を取り付けるようにしましょう。


 これら労災の話だけに留まらず、健康診断で重い病の早期発見につながったという例は多々あります。社員に長く勤めてもらうためにも、健康診断の実施と運用ルールを厳格化していきましょう。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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