第79回:一般的な退職金算定方式

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第79回:一般的な退職金算定方式

2016年5月20日

 前回までで、退職金制度のメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、「持続可能+会社の利益貢献型」の退職金制度にするためには、具体的にどのような退職金算定方式にすればよいか今回はお話していきます。


 退職金の算定方式により、退職金制度の効果、金額が大きく左右してきます。一般的には、(1)勤続年数連動型(2)基本給連動型(3)ポイント積み立て型の三つの算定方法が採用されています。それぞれ一長一短がありますので、一つずつ説明していきます。


 まず、(1)の勤続年数連動型は、勤続年数に応じて定額で退職金を算定する方法です。計算方法が簡単な半面、勤続年数だけを考慮しているので長く勤務すれば仕事ぶりに関係なく一定額支給されます。そのため、従業員の普段の業務に対するモチベーションアップにはほとんど効果がありません。

 
 次に、(2)の基本給連動型は、退職時の基本給に勤続年数を加味した算定方法です。運送業で一番採用されている算定方式ではないでしょうか。この方式は管理方法が簡単という利点があります。ただし、これも一般的に長く勤務しているだけで退職金が自然と増加するので、従業員の業務に対するモチベーションアップにはあまり効果がありません。「退職時に基本給を高くしておこう」という意識は持つかもしれませんが、普段の勤務努力への効果は少ないでしょう。


 最後に、(3)のポイント積み立て型は、毎年の人事評価(ポイント)を積み立てて最後に金額に換算する算定方式です。近年導入件数が増えてきている制度になります。勤続年数、年齢、職能給などの要素ごとに毎年ポイントを付与し、退職時にそのポイント累計にポイント単価を乗じた額を退職金とする制度です。例えば、ポイント累計が500でポイント単価が1万円とすると、退職金は500ポイント×1万円=500万円となります。


 このポイント制は、毎年のポイントを累計することで勤続年数を、職能等級でポイントを加減することによって能力や実績をそれぞれ反映できるというメリットがあります。ただし、ポイント積み立て型を行う場合、職能等級表などの人事制度を構築する必要があります。運送業の場合、売上=給与への評価であり、そもそも職能等級表などの人事制度を構築することが難しい業種になります。また、毎年の評価を数十年間履歴として管理する必要があり、運用面で中小企業にとっては導入が難しいという面もあります。


 前述の一般的な三つの退職金算定方式のうち、「退職金の存在が会社の利益につながる=従業員のモチベーションアップ」という点では、「ポイント積み立て型」が最適です。しかし運送業の場合、評価方法、運用面で高いハードルがあり、いまひとつ馴染みません。


 そこで次回、運送業の実態に合い、従業員のモチベーションアップにつながるもう一つ別の「年収比例積み立て方式」という退職金算定方式をご案内していきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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