第78回:退職金制度の利点とは

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第78回:退職金制度の利点とは

2016年5月 6日

 前回のお話で、退職金制度は数十年後の未来に対して債務を負うことになると、そのリスクについて触れました。しかし、一方で従来からある退職金制度の良さも否定できません。社長の中には「会社の創成期をともに頑張ってきた社員には退職金を払いたい」「あの社員は大きな功績を上げたから、退職金を払ってねぎらいたい」いう考えも少なからずあるのではないでしょうか。このような考えは中小企業だからこそ実践できるものであり、そのために、金額が多い少ないという問題ではなく、「気持ち」として退職金制度を残す考え方もあるでしょう。


 また、退職金制度があるということは、社員のことを親身に考えている会社だとアピールでき、採用時に有利に働くことも考えられます。ほかにも支払いの条件を「退職日まで責任を持って業務に専念し、引き継ぎを行うこと」とすることで最後まで業務に専念させることもできるのです。 


 そして、退職金はときに「手切れ金」としての機能も果たします。資金面に限界がある中小企業にとって、退職時に「不当解雇だ」「未払い残業代がある」と多額の金額を請求されることは致命的です。しかし、まとまった額の退職金を支払うことで円満な退職を促すことができるのです。


 退職金制度が将来にわたって経営の負担にならず、また社員のモチベーションアップにつながって利益に貢献していると考えるのであれば、退職金制度を継続するという選択もあります。もしくは、現行の退職金制度を見直し、「持続可能+会社の利益貢献型」の退職金制度に変更するという方法もあるのです。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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